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絶望からの脱却。「DV・モラハラ」や「うつ病」を理由とする離婚を成功させるには
DV・モラハラ離婚の成功の鍵は「証拠」
DV(身体的暴力)やモラハラ(精神的暴力)を理由に離婚を考える場合、最も優先すべきは、ご自身やご家族の「身の安全を確保する」ことです 。相手に離婚を切り出すことで逆上し、さらに激しい暴力を振るう危険があるため、弁護士や専門機関に相談の上、まず安全な場所に避難(別居)することを強く推奨します 。
裁判でDVやモラハラを理由とした離婚や慰謝料請求が認められるためには、その事実を客観的に証明する「証拠」が不可欠です 。DVとモラハラでは、集めるべき証拠の種類や収集方法に違いがあります。DVは、怪我の診断書や患部の写真といった物理的な証拠が中心となりますが、モラハラは目に見えない言動が中心であるため、継続的な記録(日記)や音声データが非常に重要な証拠となります 。いずれの場合も、第三者(警察や配偶者暴力相談支援センターなど)への相談履歴も有力な証拠になり得ます 。
DV・モラハラ離婚で有効な証拠と収集方法
DVやモラハラの証拠として有効なものには、以下のようなものがあります 。
- 医師の診断書・カルテ: 病院を受診し、「DVによるもの」と医師に伝えて診断書を発行してもらう方法があります。診断書の発行には5,000円から1万円程度の費用がかかる場合があります 。
- ケガや損壊した物の写真・動画: ケガの部位、撮影日時、場所を記録することが重要です。モラハラの場合は、物が散乱した部屋の様子なども有効な証拠になります 。
- 音声・動画データ: ICレコーダーやスマートフォンの録音アプリを常時携行し、暴言や嫌がらせを記録します。相手に無断での録音は、基本的には合法と認められることが多いですが、盗聴は違法となる可能性があるため注意が必要です 。
- 日記やメモ: いつ、どこで、誰に、どのような暴力を受けたか、何を言われたかなどを詳細に、かつ継続的に記録します。感情的な表現は避け、客観的な事実を淡々と記述することが重要です 。
- メール、LINE、SNSの記録: モラハラ発言が残っている場合は、スクリーンショットで記録し、こまめに保存することが重要です 。
- 第三者の証言・相談記録: 警察や配偶者暴力相談支援センター、友人、家族への相談記録も有効な証拠となり得ます 。
配偶者のうつ病を理由とする離婚:法的ハードルと献身の証明
配偶者のうつ病を理由に離婚を検討する場合、まず協議離婚の道を探ることが一般的です。双方の合意があれば、うつ病を理由に離婚することは可能です。ただし、病気によって判断能力が低下している可能性も考慮し、成年後見制度の利用や弁護士・医師と連携し、慎重に手続きを進める必要があります 。
協議離婚が困難で裁判に移行した場合、離婚が認められるための法的ハードルは非常に高くなります 。民法第770条第1項第4号には「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」が定められていますが、うつ病がこの「強度の精神病」と認められることは極めて困難です 。
裁判所は、単に病気であるという事実だけでなく、以下の3つの条件を厳格に判断します 。
- 離婚を求める側がこれまで献身的に看病し、十分なサポートを行ってきたこと 。
- 医学的に回復の見込みがないことが証明されること 。
- 離婚後も病気の配偶者が生活に困窮しないよう、具体的な支援策(「具体的方途」)が講じられていること 。