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離婚問題の核心:身体的・精神的暴力への対処法を弁護士が解説
弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人です。当事務所は大阪を中心に、数多くの離婚・男女問題を取り扱ってきました。
離婚原因として最も深刻な問題の一つが、配偶者からの身体的・精神的暴力です。感情的な対立だけでなく、身体や心に大きな傷を負った方からのご相談が後を絶ちません。
この記事では、DV・モラハラを理由に離婚を考えている方へ向けて、法的に有効な証拠の集め方や、慰謝料請求のポイントについて、具体的な裁判例を交えながら解説します。
1. 離婚を認めてもらうために必要な「証拠」とは?
離婚訴訟や調停で、配偶者からの暴力を主張する場合、単に「ひどいことをされた」と訴えるだけでは不十分です。客観的な証拠を揃えることが非常に重要になります。
暴力には身体的暴力と精神的暴力の2種類があり、それぞれに有効な証拠が異なります。
身体的暴力を証明する証拠
- 診断書・怪我の写真:病院で発行された診断書は、暴行の事実を証明する最も強力な証拠です。怪我をした部位を撮影した写真も、診断書と合わせて提出することで信憑性が高まります。裁判例でも、「診断書が複数提出されており、各診断書で診断された怪我は、夫の暴力により生じたものであると認められる」と判断されています。
- 警察への相談記録:警察に相談した際の記録や、被害届の控えも重要な証拠です。
- 家族や友人とのやり取り:暴力を受けた直後、家族や友人に状況を伝えた際のメールやLINEの履歴なども、補足的な証拠として役立つことがあります。
精神的暴力を証明する証拠
- 日記やメモ:いつ、どこで、どのような暴言や嫌がらせを受けたかを詳細に記録した日記は、精神的暴力(モラハラ)の存在を証明する上で非常に有効です。
- 録音データ:暴言を録音したデータは、裁判で有力な証拠となります。
- メールやLINEの履歴:配偶者からの脅迫的なメッセージや、人格を否定するような内容のやり取りは、精神的暴力を証明する証拠となります。裁判例でも、夫が妻に対し「お前はきちがいだ。腐ったりんごだ。」などと言ったことや、「1日(1泊)10,000円と致します。」と書かれた紙を見せたことが、精神的暴力として認定されています。
2. 慰謝料請求を成功させるためのポイント
慰謝料とは、配偶者の不法行為によって受けた精神的な苦痛に対する賠償金です。暴力やモラハラは典型的な不法行為であり、慰謝料請求が可能です。
- 金額の相場:慰謝料の金額は、事案によって大きく異なります。慰謝料の金額は、暴力の内容、頻度、期間、婚姻関係の破綻に与えた影響などを総合的に考慮して決定されます。、慰謝料として500万円が認められた事例も紹介されています。これはかなり高額な部類に入り、暴力の程度が著しく、婚姻関係が修復不可能なほど破綻したと認められたケースと言えます。
- 具体的な主張:慰謝料を請求する際には、単に「暴力を受けた」と主張するだけでなく、「いつ、どこで、どのような暴力を受けたか」「その結果、どのような怪我を負ったか」「精神的にどのような苦痛を感じたか」などを具体的に主張することが重要です。
3. 別居の重要性と慰謝料請求との関係
暴力やモラハラを受けている場合、一刻も早く配偶者から離れるために別居を考える方も多いでしょう。別居は身の安全を守る上で非常に重要であり、また、離婚の意思を示す重要な行動でもあります。
- 別居期間の意義:裁判では「婚姻関係の修復見込みがない」と判断されるかどうかが重要になります。長期間の別居は、この判断を後押しする要素の一つです。
- 別居中の生活費:別居中は、収入の多い方が少ない方に対して、婚姻費用(生活費)を支払う義務があります。これを婚姻費用分担請求と言い、慰謝料とは別に請求することができます。
4. あなたの気持ちに寄り添う弁護士が、未来を切り拓きます
「もう耐えられない」「怖いから動けない」
そう感じている方は少なくありません。暴力を受けている状況では、冷静に物事を考えること自体が困難な場合があります。だからこそ、第三者である弁護士に相談し、客観的な視点から状況を整理することが大切です。
私たちは、単に法的な手続きを代行するだけでなく、あなたの気持ちに寄り添い、安全を確保しながら最善の解決策を探していきます。
「離婚したいけど、何から始めたらいいかわからない」 「相手が怖くて話し合いができない」 「慰謝料をしっかり請求したい」
どんなお悩みでも構いません。まずは一度、弁護士にご相談ください。当事務所は大阪を中心に、皆様の再出発を全力でサポートいたします。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士 野条健人