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はじめに
相手方が離婚に同意してくれる場合には、特に法定の離婚事由までは求められませんが、相手方が同意しない場合には、一方的に離婚請求をするので、これを認めても良いだけの離婚事由が必要となります。
すなわち、離婚訴訟になったときに法定離婚事由を証明し、婚姻関係が破綻していたことが裁判所によって認定されると、相手が拒否しても離婚が認められます。
ただし協議や調停の場合、法定離婚事由がなくてもお互いの合意があれば離婚できます。
法定離婚事由とは何なのか、どういった事情が該当するのか弁護士がご説明します。
配偶者の不貞行為
配偶者が浮気をし、その事実が明らかになった場合、相手方に対して離婚を請求することができます。
ここでいう不貞とは、夫婦の一方が、自分の意思で配偶者以外の者と性的関係を持つことと解します。性的な関係に至る理由や相手方の任意性を問わないとされています。
判例では、継続的な配偶者の売春行為(最判昭38年6月4日事例)や夫の強姦行為(最判昭和48年11月15日事例)もこれにあたるとしています。
悪意の遺棄
悪意の遺棄とは、正当な理由なくして、婚姻関係を破綻させてもよいとの意図をもって相手を見捨てる行為です。
相手方を捨てて家出をする行為だけでなく、相手方を追い出したり、いたたまれなくなって出ていかざるをえないように仕向ける行為も含みます。
ただし、相手方が同居や扶助を拒むことに正当な理由がある場合には悪意の遺棄にはなりません(最判昭和39年9月17日事例)。
3年以上の生死不明
配偶者が生死不明の状態になって3年が経過し、婚姻関係が破綻したと認定されれば訴訟で離婚を認められます。
本号による離婚の意味としては、生死不明の場合には、協議離婚や調停離婚、審判離婚を利用することはできず、失踪宣告(民法31条)による婚姻の解消には7年かかるとされているので、そこに意味があります。
回復の見込みのない強度の精神病
相手が重度で回復不能な程度の統合失調症や双極性障害などの一定の精神病にかかっている場合、これまで献身的に看護してきて離婚後の生活保障があるなどの要件を満たせば離婚できる可能性があります。
その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記以外に、抽象的な離婚原因として、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を規定し、婚姻関係が破綻し回復の見込みがないかこの規定をもって判断されます。
具体的には、上記に該当するケースとしては、
- 暴行・虐待(DV)
- 同居に堪えないような重大な侮辱
- 犯罪行為
- 浪費癖、勤労意欲の欠如、家庭をかえりみない等、夫婦の協力義務に著しく違反するような行為
- 性交不能、正当な理由のない性交拒否、異常な性行為を要求など性生活の不一致
- お互いの性格、人生観や生活感覚の不一致、愛情の喪失など精神的な事由
- 他方配偶者の親族の不和
- 強度のモラルハラスメント等
が挙げられます。
一般的にはこれらの事情に加えて、2年程度の別居期間があれば5号に該当されやすいとされやすい傾向にありますし、上記不貞行為やDVと準ずる程度であれば別居期間なくして離婚が認められる傾向にあります。配偶者が一定期間にわたって同居を拒否し、別居状態が続いた場合、相手方に対して離婚を請求することができます。
ここでいう別居期間は、それぞれ3年から5年、さらにいる場合もありケースによりますのでお困りの方はぜひご相談ください。
法定離婚事由が必要な場合は、離婚訴訟に至った場合
法定離婚事由が必要なのは「離婚訴訟」になった場合のみです。このため、ポイントとしては、協議や調停による離婚の場合、「お互いの合意」さえあれば離婚できるので、離婚原因は問題になりません。
重要なのは、相手が離婚に承諾するかどうかです。離婚したいなら、離婚に応じるよう相手を説得する交渉していく必要があります。交渉をする際には、協議や調停等の様々な手段があります。
これらを分析して戦略をくみたてることが重要です。交渉でも弁護士が介入すると、相手としても「弁護士に依頼されたら離婚するしかないだろう」と受け止めるケースが多いから、離婚に応じることもよくあります。
離婚したいけれども離婚に応じてくれないとき、弁護士がお力になりますのでお気軽にご相談ください。
調停の場合でも調停委員が説得してくれて相手が離婚に応じる可能性がありますし、合わせて婚姻費用分担調停を申し立てるのも効果的です。自分で交渉するより弁護士に依頼する方が、相手に強いプレッシャーをかけられますので、ぜひ当事務所の弁護士までご相談くださいますようお願いします。
これまで多岐にわたる離婚問題を解決し、男性からの依頼、女性からの依頼ともに数多く担当させていただいております。
離婚・男女問題はメンタル的にお辛い状況から出発することがほとんどですので、そういう方々に配慮できるよう、不安を少しでも解消できるよう弁護士・スタッフ一同取り組んでおります。
特に、離婚は結婚と同じく人生の大きな決断の一つですので、安易に妥結することのないようサポートさせていただいております。
今何をすべきか、今後どうしていくべきか、初回相談の中で出来る限りのアドバイスをさせていただきますので、お一人で悩まずにご相談ください。