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面会交流の基礎知識
面会交流について
面会交流とは、親権者・監護権者ではないため、子を現実に監護教育できない親(以下、別居親といいます)と子が会ったり、手紙や電話で交流することをいいます。
父母が協議離婚をするときは、「父又は母と子の面会及びその他の交流」について、協議で定め、協議が整わないときには、家庭裁判所が定めることになっています。
そして、面会交流調停に際しては、「まず、子の利益を最も優先し、「直接交流又は間接交流を実施することにより子の利益に反する事情があるかどうか」について、ニュートラル・フラットな立場で、当事者双方から、主張や背景事情、すなわち、
- 子、同居親及び別居親の安全に関する事情(安全)
- 子の状況に関する事情(子の状況)
- 同居親及び別居親の状況に関する事情(親の状況)
- 同居親及び別居親と子に関係(親子関係)
- 同居親及び別居親の関係に関する事情(親同士の関係)
- 同居親及び別居親を取り巻く環境に関する事情(環境)
- その他の子をめぐる一切の事情を丁寧に聴き取り、その聴取結果を具体的かつ総合的に踏まえ、子の利益を最も優先して考慮するとの観点から慎重に検討されるべきとされています。
確かに、別居親との円満で継続的な交流は親子の信頼関係を形成することができ、家族やさまざまな人たちとの交流を通じて、人格形成できる面もりますが、他方で、離婚した配偶者への感情的な反発と、子どもへの影響を危惧する同居親とは限らない。
実際に、家庭裁判所でも、別居親が同居親や子の立場を配慮せず、親の権利を主張して、建設的な協議なくしてかたくな態度をとり争うケースや同居親が別居親や子の立場を配慮せず、面会交流を拒否するケースがあります。
離婚は、親だけでなく子どもにとっても大きなストレスです。両親の関係が悪化すると、子どもは不安や混乱を感じることがあります。離婚後、親たちは子どもたちに対して、面会交流の計画を立て、実行する必要があります。今回は、面会交流について考えてみましょう。
面会交流の重要性
離婚後、親たちは子どもたちとの関係を維持するために面会交流を行います。これは、子どもたちにとって重要なことです。面会交流を通じて、親との関係を維持することができ、子どもたちは安心感を得ることができます。また、両親が協力して面会交流を行うことで、子どもたちは両親の愛情を感じることができます。
離婚後、子どもたちは、両親との関係が変化することにより深いストレスを感じることがあります。そのため、面会交流は、子どもたちの精神的健康にとっても必要不可欠なものと言えます。面会交流を通じて、子どもたちは両親の存在を実感し、自己肯定感を高めることができます。また、両親の愛情を感じることで、子どもたちは自信を持って成長することができます。
面会交流の問題点
面会交流は、両親が協力して行うものですが、時には問題が発生することがあります。例えば、片親が面会交流を妨害する場合があります。また、面会交流の時間や場所が不適切な場合もあります。
これらの問題は、子どもたちにストレスを与えることがあります。両親は、子どもたちの利益を最優先に考え、問題を解決することが重要です。
面会交流が円滑に行われない場合、子どもたちは深いストレスを感じることがあります。 片親が面会交流を妨害する場合、子どもたちはもう片方の親との関係を断ち切られることになります。
面会交流の時間や場所が不適切な場合、子どもたちはそのストレスを抱えたまま、面会交流を行わなければならなくなります。これらの問題を解決することで、子どもたちはより健全な成長を遂げることができます。
面会交流の改善方法
面会交流に問題がある場合、両親は協力して問題を解決する必要があります。まず、問題の原因を明確にし、話し合いを行いましょう。次に、面会交流の時間や場所を調整することができるか検討しましょう。また、専門家のアドバイスを受けることも有効です。両親が協力して問題を解決することで、子どもたちはより安心して面会交流を行うことができます。
面会交流の改善方法としては、まずは両親が協力することが不可欠です。問題の原因を明確にし、話し合いを行うことで、解決に向けた第一歩を踏み出すことができます。また、面会交流の時間や場所を調整することができる場合は、子どもたちにとってより良い環境を提供することができます。また、専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な面会交流を行うことができます。
まとめ
離婚後、親たちは子どもたちとの関係を維持するために面会交流を行います。面会交流は、子どもたちにとって重要なことですが、時には問題が発生することがあります。
両親は、子どもたちの利益を最優先に考え、問題を解決することが必要です。
面会交流を通じて、子どもたちは両親の愛情を感じ、安心感を得ることができます。両親が協力することで、より健全な成長を遂げることができるでしょう。
面会交流を求めたい立場
面会交流は、子育てにかかわる親の権利及び義務であると同時に、親の養育を受ける子の権利であること、そして子の利益を第一に考えていくことが重要とされています。
裁判所でも「子の監護義務を全うするために親に認められる権利である側面を有する一方、人格の円満な発達に不可欠な両親の愛育の享受を求める子の権利としての性質を有するものというべきである」とされています(大阪家審平成5年12月22日事例)
このため、面会交流は、子の福祉を害するおそれがある場合を除き、原則として認められるべきであるという立場をとることになります。
この例外的な事情としては
- 別居親による連れ去りのおそれ
- 別居親による子の虐待のおそれ
- 別居親による別居親に対する暴力等の子の福祉に反する事情があげられる場合
には例外的に制限することになりますが、これらの理由がなければ、面会交流を円滑に実施していくための環境整備を進めていくべきでしょう。
面会交流を求める場合によくある質問
弁護士としては、面会交流が争点となる場合には労力や事案内容の重みが変わってきますので、精神的な負担を緩和させていくためにも弁護士を入れることをおすすめしています。
面会交流を認めるかどうかについては、子の心身の状況、監護状況、子の意思、年齢、監護教育に及ぼす影響、父母それぞれの意思、葛藤、緊張の関係等によりって総合的に判断されます。例えば、父母の感情の葛藤や子の精神的安定等の程度によっては長期にわたる協議も必要となることがありますので、弁護士を入れる方がよいでしょう。
また、お金に変えられない問題でもありますので、弁護士を入れて力を注ぐ必要もある事案が多数です。このため、離婚問題や面会交流、子どもの問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。
原則として子どもの意思は尊重されますが、年齢によって変わってくるという印象です。10歳前後から、子どもの意思は重視され、中学生になると、1人で行動できることから、別居親との交流も子の判断に委ねられることがあります。
また、子どもの意思もバイアスが示され、慎重に判断されることがあります。すなわち、子が別居親との交流に消極的な態度であった場合でも、同居親や親族の影響や葛藤を察知して、我慢していたり、交流による軋轢を嫌い、空気を読んで、本当の意思とは違う形で表現されたりすることもあります。
このため、家庭裁判所が、子の福祉をより慎重に判断するため心情調査が求められたりすることもがあります。最近の傾向では、子どもの意思を尊重するために、多角的に分析されることが多くあります。
監護親に対する暴力(暴言)も子にどの程度影響与えているのかという点で着目されます。すなわち、面会交流の阻害事由となるのは、これが子の心身に危害を及ぼすおそれがあるかあらであり
- それがなされた動機や
- その程度(頻度、態様、期間など)
- 被害の程度(外傷の有無)
- 反復可能性
- 子の被害感情を考慮して、制限されるか判断されることが多いです。
1度限りの暴行(暴言)の程度にもよりますが、夫婦喧嘩の口論の延長線上で1度きりというのであれば、面会交流を求める側も反省し、今後このようなことがなされない状況であれば、制限すべき理由とまではいえないでしょう。
他方で、DV防止法による保護命令が発令した事案では、原則否定されます。DVの程度や頻度もありますが、今後の子の発達状態や子の意向など、第三者の立ち合いも含めて子の福祉に即した交流をどのようにするかによって、直接的又は間接的な面会交流が実施されることになることもあります。詳しくは一度当事務所でご相談ください。
親同士の理性的な話し合いが困難で、感情対立、葛藤の高いケースはままありますが、この場合でもこの将来の利益を考えると、原則的には面会交流を実現できる環境整備をして、面会交流を行うことにするのが原則論です。
裁判所もお互いの信頼関係を構築できるように求めることがありますので、単に高葛藤であるから面会交流をあきらめる必要はないと思います。
原則として、面会交流自体の調停は相手方の住所地、審判は子どもの住所地となります。
ただ、多くの場合、調停から審判に移行するケースが多いことからすると、相手方の住所地とお考えいただいて問題ございません。
このような理由では、現在は面会交流を制限する理由にはなりません。
従前、離婚後に、例えば、子が再婚家庭で暮らしている場合には波風を立てないようにという理由で面会交流を認めなかった事例や現在の平穏を守りたいということだけで面会交流を制限した事案が見受けられましたが、現在は、子の福祉の観点からこれらが直ちに面会交流を制限する理由とはなりません。
ただ、このような事例では父母の高葛藤が別で理由とされることがありますので、弁護士とよく相談のうえできちんと対応策を考えられることをおすすめしています。
子どもの環境や生活状況も考慮されます。すなわち、子の福祉に沿って検討した際に、面会交流をすることにより子どもに精神的な負担がかからないように配慮する必要がありますし、子の意向や子の心理的な負担を軽減できるようにするための環境整備も検討されることになります。
さらに他の個別事情を考慮する必要がありますので、離婚問題や面会交流に関しては面会交流に詳しい当事務所にご相談してみてください。
面会交流の調停でまとまらなかった場合には審判手続に移行します。
直接交流を行うを実施できるか、うまくいくかの様子を見るため、面会の試行を実施することがあります。これを試行的面会交流といいます。例えば、家庭裁判所内で試験的に別居親と子を会わせ、その様子を見ながら面会の実施や具体的な方法を考えることになります。
父母の葛藤が高場合や、父母間の信頼関係の再構築が不十分な場合には、面会の実現や継続のため、当初は第三者(例えば、義父や義母、親族)を立ち合いさせて、面会交流を実現する場合があります。NPO法人が行っている面会交流機関での第三者機関による面会交流を行うことがあります。
面会交流の合意をされても履行されない場合は、家庭裁判所による履行勧告をしてもらったり、間接強制という方法により権利の実現がされる場合できます。
ただ、間接強制は面会交流の内容が具体的に特定されている場合でしかできません。このため、不履行による損害賠償請求を行い、間接的にプレッシャーをかけることもあります。
一般に、父母間の紛争は、子に大きなストレスを与え、子の心情や親子関係に影響を及ぼします(父母間の紛争の「板挟み状態」と言います)。
父母が激しく争うと、その狭間に置かれた子は、いずれかの親を選択せざるを得ない心理状態になり(一方の親の味方をすると、他方の親を裏切っているような気持ちになります、「忠誠葛藤」と言います)、父母それぞれとの関係に思い悩みます。
この状態は子にとって過大なストレスとなることから、子は、同居親の側に立って別居親を否定するという単純な態度を強めることで、葛藤を避けようとする傾向があります。
しかしながら、子は父母双方からアイデンティティを受け継ぐ存在であり、一方親を必要以上に否定することは、自己肯定感の低下や対人不信感につながるため、長期的・客観的な子の福祉の観点から望ましくありません。
これらのことから、父母においては、「板挟み状態」による子の心理的負担を軽減する配慮が求められます。「板挟み状態」を軽減し、別居親との交流への安心感を与えるためには
- 子の監護について父母が協力する姿勢(子と同居親との現在の生活を別居親が了承し支持していること、子と別居親との面会交流を同居親が了承し支持していること)が子に伝わること
- 父母間のマイナス感情を子に向けないこと(父母間の険悪なやりとりの場面を子に見せないこと、他方当事者に関する否定的な言動や、他方当事者との関係に起因する自身の否定的感情を子に見せないこと)
等の配慮が求められます。
面会交流を求められた立場
別居親から面会交流を求められたものの、監護親としては、別居親とのこれまでの葛藤や離婚に至る経緯から信頼関係が構築できないケースがよく見受けれます。このため、「会わせたくない」という考えに結びつくこともよく分かる事案も見受けられます。
例えば、暴力行為(DV)やいわゆるモラルハラスメントがある場合には、葛藤も強く、面会交流が制限されるべき場合も少なくありません。また、面会交流は継続的に将来にわたって行うことになりますので、別居親との今後の付き合いで悩まれる方も非常に多い現状です。
このため、きちんと対応することが未来において重要であり、そのためには離婚問題、面会交流問題に詳しい当事務所にご相談いただきたいと思っています。
原則的に面会交流はしなければならないと思ってしまって安易に妥協される方もいますが、あくまでも子の利益に即して、これまでの背景事情も含めて総合的に決める必要がありますから、粘り強く協議をすることが重要となります。
このため、面会交流を求められた場合でも「子どもに会わせたくない」と考えるのが自然なこともあり、面会交流を求められた場合でも粘り強く交渉することをおすすめします。
面会交流を求められた場合のよくある相談
確かに、面会交流実務において、子の福祉を害するおそれがある場合を除き、原則として面会交流が認められるべきである」や「特段の事情がない限り、面会交流を認めるのが望ましい」といった裁判例もありますが、いずれも根本的には子の福祉に沿って面会交流を認めるべきかどうかが重要であって、原則論で形式のみに捉えてしまうのは違っています。
面会交流の検討にあたっては、子の心身の状況、監護状況、子の意思、年齢、監護教育に影響を及ぼす影響、父母それぞれの意思、葛藤、緊張関係の程度、父母の協力等も総合的に協力しあって決める必要があります。
子どもの意思は基本的に尊重されます。子が面会交流を拒否している場合には、子のためにならないになる可能性がどこにあるか原因を考えて、子の利益にならないのか協議されますが、それでも子どもの意思は尊重される意向です。
ただ、子の年齢が比較的に低い場合や子の拒否が忠誠葛藤による場合には慎重な判断が必要となります。
子どもの年齢が10歳程度になってくると、その理由が合理的なものではなくても面会交流を強いることは子のためにならないとされています。
相手方である別居親は監護親に攻撃的な態度をとったりして、親としての適格性としてどうかと思う言動が多いです。この場合、面会交流を制限できる事情にはならないのですか。
同居親にたいして攻撃的な行動をとったり、約束に反して勝手に子に会いにいったり、GPSを装着させていたり、同居親との協力関係を壊したり、子を著しく情緒不安定にさせる行為をしていると、面会交流が制限できるというべきであります。
暴力・虐待(以下、「暴力等」という。)が面会交流の制限できるのは、これが子の心身に危害を及ぼすおそれがあるからとされています。
暴力等について
- これがなされた動機や
- その程度(頻度、態様、期間など)
- 被害の程度(外傷の有無)
- 反復の可能性
- 子の被害感情等を考慮して、阻害事由にあてはまるかどうかが判断されるとされています。
このため、上記①から⑤までの内容を踏まえて毅然と主張すべきです。当事務所でも同種事例はたくさん取り扱っていますので、遠慮なくご相談ください。
DV被害は一般的には精神的ダメージも大きく、様々な影響を心身にあたえるものですから、面会交流は大きく否定されるものでしょう。裁判例でも、DV防止法による保護命令が発令されている状況においては、面会交流を原則的に否定的に考える事案も少なくありません。
暴力が止んでいても反省しているとは限らない状況もありますし、その内容や程度もよりますので、一度弁護士に相談してください。
子への直接の暴力はないが、監護親に対する暴力があった場合でも、その影響は子に及んでいるのが通常とされています。
暴力の状況を直接目撃していない場合でも、多くの場合、その事実は知りうるから、これによって、子は、非監護親に対する恐怖心や嫌悪感を抱くことがあり、これらの場合には、子自身が暴力を受けたのと同様に考慮されるともいわれています。このため、面会交流を制限できるように主張していくべきです。
監護親が非監護親の強いモラルハラスメントによって強い恐怖感を頂いている場合には、面会交流は認めにくいとされています。高葛藤がうまれていますし、非監護親が誠実な対応をしていないのであればなおさら面会交流を制限すべきでしょう。
過去の暴力や強いモラルハラスメント(精神的虐待)を受けているのであれば、面会交流を実施することが監護親に大きな心理的負担を与え、その結果、子の利益を害する結果となる場合も面会交流は認められない」と主張すべきだと思います。
非監護親である申立人に暴力があった裁判例として、東京家庭裁判所審判平成14年5月21日事例があります。
この事例では、申立人(非監護親)と相手方(監護親)が対等な立場で協力し合うことができない状況にある場合において、現時点で申立人と事件本人の面接交渉を実現させ、あるいは間接的にも申立人との接触の機会を強いることは、相手方に大きな心理的な負担を与えることになり、その結果、母子の生活の安定を害し、事件本人の福祉を著しく害する虞が大きいと言わざるを得ないとしています。
質問のような事例で、面会交流が制限された事例はあります。
婚姻別居中に非監護親である父が3歳児との面会交流を求めたものの、監護親である母親は子どもがやっと精神的に安定してきたのにいたずらに動揺させることになるとして拒否した事案で、東京高決平2・2・19(家月42巻8号57頁)は、「子が父親(相手方)についての認識を欠いている現状を改善したいとの相手方の心情は理解しうるところであり、また、相手方が子の監護を行えなくなった事情(別居に至った事情)については、相手方に同情すべきところがあるとしても、その面接は子の精神的安定に多大の悪影響を及ぼすものとみるべきであり、子の福祉を損なうおそれが強いと判断される。
そうであれば、現時点での面接は、子の福祉をはかるために、これを許さないことを相当とする余地があり、また、仮に面接を許すとしても、子の福祉を極力損なうことがないようにするため家庭裁判所調査官等を関与させる等の配慮が必要であると判断される。」として、面会交流の申立てを認容した家裁の審判を取り消して差し戻しています。
また、協議離婚時に面会交流の合意がなされましたが、面会交流後に子どもが不安定になるなどの状況の下、監護親である母が面会交流を拒否したため、非監護親である父が面会交流を求めた事案で、岐阜家大垣支審平8・3・18(家月48巻9号57頁)は、「事件本人〔子〕は未だ3歳と幼年であり、これまでも母親である相手方から一時も離れることなく成育されてきたものであって、相手方の手から離れ、異なった環境の中で、申立人と時間を過ごすということは事件本人に少なからぬ不安感を与えるものであると思える。
現に、事件本人〔子〕が申立人と面接した後には情緒不安定な兆候がみられることを考えると、現段階での、申立人との面接交渉を認めることには躊躇せざるを得ない。
今は、相手方がこまめに事件本人〔子〕をビデオや写真に撮り、これを申立人に送付する等して、申立人に事件本人〔子〕の近況を知らせる程度に留めるのが相当である。」と判断して、父の申立てを却下しました。
連れ去りとは、監護親が監護する子を監護親から奪うようなことをいいます。面会交流は大前提として、監護親が監護し、一時的に非監護親に子を引渡し、監護親のもとに引き渡すということを前提にしています。
このため、この前提を覆す行為は信頼関係を破壊する行為として、面会交流を制限できるという主張ができます。
過去の連れ去りや連れ去りの準備行為があり、危険が現実化しているような場合には当然面会交流の主張をすべきでしょう。
連れ去りのおそれがあるかどうかは
- 非監護親の精神的な状況、性格、行動傾向
- 監護親の監護に対する認識
- 裁判所に対する態度や約束への遵守姿勢
- 過去の言動などに着目して、過去の連れ去りを疑わせる行為や計画性等を述べることになります。
第三者や第三者機関を用いた面会交流を主張することができます。
DVやモラルハラスメントの程度や高葛藤事案の場合に、子の福祉に即して検討すると、面会交流をする方がよいのですが、面会交流の円滑な実施のために第三者の関与が必要で会ったり、第三者機関の立ち合いを利用することにより、精神的な負担を軽減できることがあります。
基本的には第三者による面会交流権はないとされています。
モラルハラスメントも程度にはよるが、監護親や子にも深い精神的な影響をあたえることになります。無自覚的になされ、これを受けた心情を理解できないことが多く、今後の信頼関係を形成できないとされることもあります。
過去の恐怖心や嫌悪感、子の安全への不安があり、過去の出来事を早期して不安の増幅がでてくるものとなるため、制限すべき事情があると主張すべきです。
基本的には、養育費と面会交流は別ものですが、扶養の応力があるにもかかわらず、婚姻費用や養育費をあえて払わずに面会交流を求めるのは、子の利益を考えないとして、面会交流が制限できる要素にしていくべきでしょう。
このような事案では、親同士の理性的な話合いが困難で、感情的対立・葛藤が強いケースがあります。親の葛藤が子に反映し、子の精神的な安定を害する場合があり、当面面会交流が制限されるべきだという主張をしていくこともあります。
確かに、離婚後、子が再婚家庭で暮らしている場合に、平穏な生活の方が子どもを混乱させたくなという理由で、拒否したい気持ちも分からなくは有りませんが、結局のところ、子の意思や子どもの環境から子の福祉に適合するかを柔軟に検討していく必要がありそうです。
ただ、相手方の適格性や父母の葛藤の高さから、面会交流を制限する考慮要素としてとらえることはあります。
過去に不貞や不倫行為があった場合に、これを理由に面会交流を拒否されることがありますが、ただ、一般論としては子の問題と夫婦の問題は別個に考慮されるので直ちに面会交流を禁止することにはならないとされています。
しかしながら、非監護親の異性との交際を子がどううけとめるのか、つまり不道徳な関係を続ける非監護親に嫌悪感を持つこともあるでしょうし、監護親には被害感情が強いことが多く、高葛藤事案ともなりますし、被害感情もあるので、このような事情をしっかり説明していくべきでしょう。
相手方に任意に子どもを返還してもらうように主張すべきですし、それで返還されなければ、監護権の調停や子の引渡しの調停、仮処分等も検討することも必要です。
また、信頼関係を著しく損なう行為です。面会交流の制限すべき事情になるでしょう。
父母の葛藤が高い場合やDVや暴力行為がなされている場合、子自身が面会を拒否しているような場合には直接的な面会に代えて、手紙、ビデオ、写真、成績表の送付など間接的な交流にとどめる場合があります。
DVや児童虐待をしている場合では間接的な交流も行わないことがあります。裁判所では、直接的な交流の実施が困難と判断した場合でも、何らかの親子の交流を保障し、将来の直接的な面会交流に発展させるベースをつくっておくという意味で、間接交流を行っていくということがあります。
同様の事例としては、さいたま家審平成 19・7・19(家月 60 巻 2 号 149 頁16)が事例になります。
この事例では、母からの申立ての内容は月 1 回の直接的面会交流であり、裁判所も、子が父に対して手紙を送付したり電話を掛けたり(留守番電話へのメッセージの吹き込み)しており、その文面からしても相手方に会いたいと考えていることが認められるとしました。
しかしながら、子が 離婚時には2歳になったばかり(審判時は小学校4年生)で、抽象的な父親像をもつに留まると推察されること、また、父母の離婚から6年以上が経つが、離婚に至るまでの父母の葛藤は極めて根深かったこと、さらに、父が再婚家庭を築いていることも考慮し、
「直接の面接交渉を早急に実施することは、未成年者の福祉に必ずしも合致するものではなく、消極的にならざるを得ないとし、将来的には、環境を整えて、面接交渉の円滑な実施が実現できるようになることが期待されるが、当分の間は、間接的に手紙のやり取りを通じて交流を図ることとするのが相当である」
と判示しています。
同様の事例では、名古屋高裁平成 26・4・10(平成 25 年(ラ)第 469 号)があります。
この事例では、別居中の母が、子3名(年齢は 不明)との面会交流を求めた事案であり、原審は直接的面会交流を認めず、手紙や電話、メールのやり取りによる間接的交流のみを認めたため母が即時抗告した。
抗告審では、原審判を取り消し、
「面会交流に対する未成年者らの拒否的ないし消極的態度があることは否定できないことや、未成年者ら が抗告人と遠距離の地に居住していることに加え、未成年者らの年齢、生活状況及び当事者の意見等 を併せ考慮すると、春休み、5 月の連休、夏休み及び冬休みに各 1 回の面会を実施するとともに、自由な間接的交流を行うのが相当である」
としました。
一般的に、家庭裁判所での子供の心情調査は、親権や面会交流が争点の時に行われます。これは、子供の心情を調査することにより、子供の福祉に面会交流や子供の監護にどのように影響しているのか、その調査により当事者との関わりをどうすべきなのかが見えてくるからです。
このため、家庭裁判所の調査官は、子が通っている保育園、幼稚園、学校又は児童相談所などの関係機関を調査対象とすることが少なくありません。
専門書によりますと、これらは、当事者とは異なる立場で、日常的、直接的、継続的に、子及び当事者に関わっているので、有用な情報を得ているとされています。
具体的には保育園等に調査官調査がある旨の連絡を入れることを依頼し、連絡先を確認し家裁調査官は、保育園、幼稚園又は学校等の調査をします。大抵は、その前に、監護親等に子の監護に関し、調査の面談を行うことがあります。
実務的には、家裁調査官は、事実の調査が終了すると速やかに調査報告書という書面を作成して、裁判所に提出することがほとんどです。当事者は、それを閲覧、勝写し、その後の進行に備えることになります。
実は、この調査報告書をどのように使うのか、それが弁護士としての腕の見せ所にもなります。このように親権や面会交流、調査官の報告書が出る案件は、弁護士さんを入れることにより変わることもあります。
お困りの方はかがりび綜合法律事務所までご相談ください。
面会交流について、そのルールづくりが悩ましいときがあります。その際、今後の状況をどうするのか考察するため、試行的に面会交流を行うことがあります。
子の年齢が低い場合には、裁判所内の児童室を用いる場合もあります。児童室というと分かりにくいかもしれませんが、平たく言えばプレールームということを思い出していただければ分かりやすいかと思います。
そこでは、家庭裁判所の調査官が立ち合い、直接的には子が状況をどのように理解しているか及び監護子の言語表現のみならず、その表情、言葉のトーン、身振りや手振り、面接子がどのような状況理解の下で、どのような経過の中でそれが表現されたかてもらうかを検討して、今後の面会交流のあり方について話をしていくことになります。
また、子供の心情や親との在り方にも大きく配慮する必要がありますので、家庭裁判所の調査官は、家庭での状況や、子供の友達、先生、家庭環境影響などによって、素直な心情を理解することに努めていきます。
子に絵を描かせたり、簡単なテストを施すことなどを面接補助手段として用いることもありますが、いずれも、子の調査を行うについては、調査自体が子の利益を守り、福祉を生現するものでなければならず、細心の注意が必要であるとされています。
子への現実の影響が見込まれる調査であるから、子の福祉への配慮の必要性はより高く、調査の必要性の十分な吟味、調査の子への影響の有無、内容及び程度の十分な吟味並びに調査方法の吟味が必要であり、このあたりで悩ましいときは代理人弁護士にきちんと相談するなど、しっかりとした対策をとらないといけないと思っています。
この場面でお悩みの方でもご相談はのります。代理人をしっかりつけて対応することが望ましいので、お困りの方はご相談ください。
親権や面会交流のことで悩まれている方が多い印象です。是非ご相談いただきたいと思っています。
まず、当事者やその置かれている人間関係や環境に適応させるために、当事者やその家族らに与える助言援助、情緒の混乱や葛備の著しい当事者に対して情緒の緊張を緩和し、感情の葛藤を鎮め、自己洞察力を回復させて理性的な状態で手続に関与できるようにしていく必要があります。
家事事件、とりわけ離婚事件は、今後の人間関係について、手続の下で対立する当事者間の争訟を裁断することを目的とする考えとは相容れないとの考えに基づいています。
例えば、面会交流に例えてみます。裁判官が面会交流を認めますと言ったとしても、その回数や方法、内容、手段を具体的どういう風にやっていきましょうという内容がなければ全然進みません、絵に描いた餅になってしまいます。
家裁調査官の事実の調査は、実際に調査事項及び調査の具体的内容は、当事者の求めによって決めるのではなく、裁判所の必要に基づいて定められます。
調査事項としては、子の監薄状況、子の意向又は親権者としての適格性とされる場合が大部分でありますが、裁判所は、審理の経過、証拠調一慮して必定めていき、子の監護状況及び非監護親の監護態勢監護親が現にしている子の監護状況を確認し、それが子の福祉に適っているとされ、事案に応じて、監護親の面接調査、監護補助者の面接調査、監護親宅への訪問調査及び子が在籍する学校、保育所等の調査などの監護親側の調査が行われます。
なお、親権の判断に必要な場合には、監護親側の調査に加え、非監護親側の監護体制の調査が行われる場合もあり、具体的には、事案に応じて、非監愛親の面接調査、監護補助予定者の面接調査及び非監護親宅への訪問調査などが行われます。
このように家庭裁判所の調査官の内容は意外と奥深くここをどのように当事者として接していくか重要です。
だからこそ寄り添う代理人が必要になりますのでお困りの方、これから親権や面会交流のことでお悩みの方はご相談ください。宜しくお願いします。
解決事例
協議離婚 男性側から離婚請求して離婚調停で解決した事案
- 別居 離婚請求 性格の不一致
- 依頼主 30代 男性
依頼者からの相談内容
依頼者様は妻と子供2人がいましたが、相談前より性格の不一致により、喧嘩が日に日に多くなり、最終的には追い出される形で、別居となりました。
離婚について財産を正確に財産分与したかったのですが、妻側がパワハラ的性格で話し合うことができずにいたところ、相談がありました。
結果
弁護士に相談した後に、依頼を引き受け全ての窓口を弁護士にすることにより、妻からの暴言等はなくなりました。
その後、離婚調停を申し立てました。幾つか争点がありましたが、依頼者様は子の成長を楽しみにし、離婚しても子供達の成長や面会を楽しみにしておりましたので、面会交流の実現、その内容にはこだわって対応していきました。
また諸問題のなかでも長年婚姻関係にありましたので財産分与等の論点がありましたが、毅然と財産分与についても主張を行い、無事に解決することができました。
弁護士からのコメント
男性側からの離婚請求のご依頼も意外と多いというのが感想になります。
なかには本件のように妻側の方がパワーバランスが強くなかなか離婚協議自体の申し入れもできないままのこともあります。
依頼者様も妻側と性格不一致でなかなか精神的にもメンタル的にも苦しい状態でありました。そのなかでも子供達の成長を見守りたいという想いが相談者様を勇気づけて最後まで闘う気力になったのだと思います。
本件での依頼者様も精神的に疲弊しており、相談なされた後に少しずつ明るさを取り戻して元気になられていたことが印象的です。
話してみることだけで楽になることもあります。一度お気軽にご相談されてみませんか。少しは気が楽になることもあるかと思います。
母親側 親権取得&養育費も獲得 自宅の出資金も一部回収事例
依頼者からの相談内容
非常に複雑な事案ではありましたが、簡略化すると、夫側が妻や子供を捨てて顧みなくなり、モラハラ事案と言えるような事案ではあります。
親権の取得希望もはっきりせず、養育費も出さないようなそぶりを行っていました。依頼者様は呆れてしまい、別居することになりました。そして、かがりび総合法律事務所へ相談にこられました。
結果
依頼者様とよく話をして、なかなか一筋縄で解決するような方ではないと考え、離婚調停を申し立てることにしました。
離婚調停は、中立的な立場である調停委員が親権や養育費、面会交流、財産分与について話し合いを行う場ではありますが、理屈が重要になります。
このような相手方に対しては離婚調停を行うことが最適だと考え、離婚調停をし、最終的には、親権取得&養育費も獲得、自宅の出資金も一部回収しました。
面会交流については、事実上こちらの言い分が認められ、直接的な面会交流を一部回避することができました。
弁護士からのコメント
詳細は書けませんが、離婚調停においては婚姻費用とセットに行い、いかにすれば当方に有利な土台が築けるか、これを重視することが大事です。
闇雲に主張するだけでは、「木を見て森をみず」という結果にもなりかねません。お困りの方は一度ご相談してみてください。
この事例では、面会交流を大きくこちらに有利な条件で協議でき、面会交流も粘り強く交渉することが重要です。