不倫慰謝料の金額を左右する主要な要素、具体的な証拠の集め方、

大阪で離婚問題、特に不倫による慰謝料請求・被請求に関するご相談を数多く受けている弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条健人です。

配偶者の不倫は、家庭の平穏な共同生活を破壊し、裏切られた側の心に深い傷を残します。その精神的苦痛に対する賠償として「不倫慰謝料」が請求されますが、「一体いくらもらえる(払う)の?」「どんな証拠があればいいの?」といった疑問を抱えている方は非常に多いでしょう。

今回のブログでは、不倫慰謝料の金額を左右する主要な要素、具体的な証拠の集め方、そして弁護士が介入することの重要性について、裁判所の具体的な判断例も交えながら、詳しく解説していきます。

1. 不倫慰謝料の法的根拠と「不貞行為」の定義

不倫による慰謝料請求は、民法上の**「不法行為」(民法709条)**に基づきます。配偶者を持つ者が、その配偶者以外の者と性的な関係を持つことは、夫婦間の貞操義務に違反し、夫婦が平穏な共同生活を送る権利を侵害する「不法行為」とみなされます。

裁判所の考え方として、不貞行為は「夫婦の貞操義務を侵害し、夫婦の平穏な共同生活を害するものであり、また、子の平穏な生活をも害するような違法行為」と明確に位置づけられています。

ここでいう「不貞行為」とは、原則として配偶者以外の者と「性交」に及ぶことを指します。単に手をつないだり、食事に行ったりする行為だけでは、不貞行為とは認められません。しかし、ごく例外的に、**「性交類似行為」**であっても、その行為が婚姻関係を破綻させるに足るほどに密接な関係性(肉体的関係)を伴うと評価される場合には、慰謝料が認められることがあります。ただし、これは個別の状況や証拠に基づいて厳しく判断されます。

2. 不倫慰謝料の金額を左右する要素:相場と重要判例からの考察

不倫慰謝料の金額は、一律に決まっているわけではありません。個別の事情によって大きく変動しますが、一般的には数十万円から数百万円の範囲で決まることが多いです。裁判所が慰謝料の額を算定する上で最も重視するのは、**「婚姻関係への破壊度合い」と「精神的苦痛の程度」**です。

これを判断するために、以下の要素が総合的に考慮されます。

  • 不貞行為の期間と回数: 不貞行為の期間が長ければ長いほど、また回数が多ければ多いほど、婚姻関係への影響は大きいと判断され、慰謝料額は高くなる傾向にあります。「東京地方裁判所平成22年7月15日」の判例では、不貞行為の期間が約1年9ヶ月と長期にわたったことが慰謝料の増額事由として考慮されています。一方で、「東京地方裁判所平成24年7月24日」の判例では、「不貞行為の期間がわずか2ヶ月弱」と短期間であったことが、慰謝料が比較的低額に抑えられる要因の一つとされています。
  • 不貞行為の内容・態様: 性交の有無、性交類似行為の程度、密会の頻度、交際相手が配偶者の友人や職場の同僚であったか(より悪質と判断される)、妊娠・出産に至ったか、夫婦関係破綻後に不貞が始まったか、などが影響します。
  • 婚姻期間の長さ: 婚姻期間が長ければ長いほど、その関係が不貞行為によって破壊されたことによる精神的苦痛は大きいと判断されやすく、慰謝料額に影響を与えることがあります。
  • 不貞行為が離婚原因となったか: 不貞行為が直接的な原因で離婚に至った場合は、離婚しなかった場合よりも慰謝料額が高くなる傾向にあります。
  • 請求される側(不倫相手・不倫した配偶者)の経済力: 相手の経済力が高い場合、慰謝料額が考慮されることもあります。

3. 不倫慰謝料請求に必要な「証拠」と「立証」のポイント

不倫慰謝料請求を成功させるためには、確実な証拠が不可欠です。直接的な性交の現場を押さえることはほぼ不可能であるため、間接的な証拠(状況証拠)を積み重ねて不貞行為があったことを推認させることになります。

  • 探偵の調査報告書: ラブホテルへの出入り、異性との宿泊、自宅への頻繁な訪問などが分かる写真や動画は、最も有力な証拠となります。ご提供資料でも「ラブホテルに異性と出入りしているということは、ラブホテルの目的、内実からして不貞があったと強く推認される」とあります。
  • LINEやメール、SNSなどのメッセージ: 肉体関係をうかがわせる内容、愛情表現、密会の約束、夫婦関係への不満を相手に打ち明ける内容などが記載されたものが有効です。
  • 音声データ: 不倫を認める会話の録音、不貞相手との性的な会話など。相手に無断で録音したものであっても、証拠能力が認められることが多いです。
  • クレジットカード明細、レシート: ホテル代、デート代、プレゼント代など、不倫関係をうかがわせる支出の記録。
  • ホテルの領収書: 不倫相手との宿泊を示すもの。
  • GPSの記録: 不貞相手との密会場所への移動履歴。

これらの証拠は、単体では弱くても、複数組み合わせることで「不貞行為があった」という強い推認を働かせることができます。裁判官は「客観的に常識を前提に考えていきます」とあるように、一般的な社会通念に照らして判断を下します。

4. 不倫慰謝料を請求された場合の対応:大幅な減額交渉の可能性

もし不倫慰謝料を請求されてしまった場合、焦って安易な行動に出るのは絶対に避けてください。高額な請求にパニックになり、不用意な言動をしてしまうと、後で取り返しがつかなくなる可能性があります。

  • 弁護士への速やかな相談: 請求された金額が妥当か、そもそも支払う義務があるのか(例:相手夫婦の婚姻関係が既に破綻していた場合など)、弁護士が法的に正確に判断し、適切な対応をアドバイスします。
  • 慰謝料の大幅な減額交渉: 弁護士が介入することで、不貞の期間・回数、相手方の婚姻関係の破綻の度合い、あなたの収入状況など、様々な要素を考慮し、慰謝料額を大幅に減額できる可能性があります。当事務所でも、数百万円単位での減額に成功した事例が多数ございます。 「東京地方裁判所平成22年4月19日」の判例では、300万円から500万円近く減額した事例や、当初は高額な慰謝料が請求されても、最終的に減額されたケースが示唆されており、この点からも弁護士の専門性が重要であることがわかります。
  • プライバシーの保護: ご家族や職場に知られたくない場合など、第三者に口外されないことなどの条件を交渉することも可能です。弁護士が窓口となることで、直接的な接触を避け、プライバシーを守ることができます。
  • 精神的負担の軽減: 請求相手との直接交渉は、精神的に非常に大きな負担を伴います。弁護士が代理人となることで、あなたの精神的な安定を取り戻し、冷静に対応できます。

まとめ:不倫問題は専門家へ。あなたの権利と未来を守るために

不倫は、請求する側にとっても、される側にとっても、精神的に大きな負担を伴うデリケートな問題です。感情的な対立が深まる前に、法的な専門知識と交渉力を持つ弁護士に相談することが、早期解決への鍵となります。

弁護士法人かがりび綜合法律事務所では、不倫慰謝料の請求側、請求された側、いずれのご相談にも豊富な経験と実績がございます。あなたの状況を詳しくお伺いし、最も有利な解決策をご提案させていただきます。

初回相談は無料です。どんなに複雑な問題でも、諦めずにまずは私たちにご連絡ください。あなたの心の平穏と、新たな未来を築くお手伝いをさせていただきます。

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野条 健人 代表弁護士
大阪を拠点に、男女問題・離婚・DV・モラハラなど、デリケートな問題を抱える方々の相談に親身に対応しています。ただ法律的な解決を目指すだけでなく、依頼者様の気持ちに寄り添い、心の負担を少しでも軽くすることを大切にしています。 「相談してよかった」と思っていただけるよう、一人ひとりのお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案します。お悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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