【弁護士解説】DV・モラハラがあった場合の「面会交流」はなぜ制限されるのか?

【弁護士解説】DV・モラハラがあった場合の「面会交流」はなぜ制限されるのか?

こんにちは!

大阪市西区本町の弁護士法人かがりび綜合法律事務所 弁護士の野条健人です。

離婚や男女問題において、面会交流は子どもの健やかな成長のために重要ですが、過去にDV(ドメスティック・バイオレンス)やモラハラがあった場合、その実施は極めて慎重に判断されます。

「子どもをDV加害者に会わせたくない」「元配偶者と顔を合わせるのが怖い」―こうした監護親(子どもと暮らす親)の恐怖心や不安は、法的にどのように考慮されるのでしょうか?

今回は、裁判所の判断基準に基づき、暴力やDVが面会交流に及ぼす影響について詳しく解説します。


1. 子どもへの直接の暴力・恐怖心

非監護親(子どもと離れて暮らす親)が子ども自身に暴力を振るっていた場合、その面会交流の可否は、主に子どもの抱く恐怖心の強さによって判断されます。

  • 子どもが非監護親に対し、強い恐怖心を抱いており、これによって面会交流を拒否しているような場合は、面会交流は認められません 。裁判例では、父から包丁や模造刀で脅され、面会を拒否した子の意向が強固なため、面会交流を禁止すべき特段の事情があるとされた事例があります 。
  • ただし、過去の暴力の程度が軽度で、非監護親の反省や子どもの意向によっては、面会交流が認められることもあります 。

2. 監護親(配偶者)への暴力・モラハラの影響

子ども自身に直接の暴力がなかったとしても、

監護親に対する暴力やモラハラがあった場合、その影響は子どもに及んでいるのが通常です

(1) 子どもへの影響:恐怖心と嫌悪感

暴力を直接目撃していない場合でも、多くの子どもはその事実を知り得るため、非監護親に対し

恐怖心や嫌悪感を抱くことがあります 。これらの感情は、子ども自身が暴力を受けたのと

同様に考慮されることとなります

(2) 監護親の恐怖心と心理的負担

裁判所が面会交流を認めにくい最大の理由の一つは、監護親が抱く

強い恐怖感や心理的負担です

  • 強度の暴力は原則不可: 監護親が非監護親の暴力によって強い恐怖感を抱いている場合、面会交流は認めにくいとされ、強度の暴力がある場合には、原則的に面会交流は認められないといってよいでしょう 。
  • 交渉力の欠如: 暴力を受けた監護親に恐怖心等があれば、非監護親と対等に交渉を行う力関係がなく、適切な面会交流を行うことができないため、子の利益とならないと判断されます 。
  • 子の利益を害する結果: 過去の暴力等が原因で、面会交流を実施することが監護親に大きな心理的負担を与え、その結果、子の利益を害する場合は、面会交流は認められません 。この精神的負担は、子の安全への不安や、過去の出来事を想起しての不安の増幅など、一概に低いとは言えません 。
  • モラハラも同様: 直接の暴力でなくても、物を壊したり、罵声を浴びせるなどによって監護親に恐怖心や心理的負担を与えた場合も同様に考慮されます 。過去のDVにより、監護親がPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された事例も存在します 。

3. 保護命令(DV防止法)が発令されている場合

非監護親に対して

保護命令が発令されている場合、その存在を前提として面会交流のあり方を考えることになります

特に、保護命令が

子への接近禁止命令をも発している場合は、その効力が存在する期間(6か月間)は、面会交流を認めることはできません

DV・モラハラ案件こそ、離婚・男女問題に強い弁護士へ

DVやモラハラが絡む面会交流の事案は、感情的な対立が激しく、法的に複雑な判断が求められます。

「自分は我慢するしかない」と思い込んでいる方が非常に多いですが、理不尽な扱いを受けている方が我慢する必要は全くありません。

私たち弁護士法人かがりび綜合法律事務所は、大阪市西区本町を拠点に、あなたの心に寄り添い、法的な知識と経験をもって、以下の点からあなたとお子様の未来をサポートします。

  • 適切な証拠の整理: 過去の暴力やモラハラが子の利益を害することを証明するための証拠(診断書、カルテ、メール、日記など)を整理し、調停・裁判に臨みます。
  • 強固な交渉: 監護親の恐怖心や心理的負担を法的に強く主張し、面会交流の禁止や制限を求めます。

DVやモラハラでお悩みの方は、一人で行動する前に、まず一度ご相談ください。あなたの未来のために、私たちが全力で闘います。

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野条 健人 代表弁護士
大阪を拠点に、男女問題・離婚・DV・モラハラなど、デリケートな問題を抱える方々の相談に親身に対応しています。ただ法律的な解決を目指すだけでなく、依頼者様の気持ちに寄り添い、心の負担を少しでも軽くすることを大切にしています。 「相談してよかった」と思っていただけるよう、一人ひとりのお話を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案します。お悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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