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DV夫と離婚するための「逃げ方」と「戦い方」。別居・証拠・保護命令の全手順を大阪の弁護士が解説
こんにちは。大阪市中央区、弁護士法人かがりび綜合法律事務所・代表弁護士の野条健人(のじょう けんと)です。
「夫の暴力から逃げたい。でも、逃げたらもっと酷いことをされるかもしれない」 「子供を連れて逃げても、生活していけるか不安」
DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害に遭われている方は、常に恐怖と不安の中にいらっしゃいます。 しかし、これだけは断言できます。あなたと子供の命より大切なものはありません。
今回は、DV加害者と安全に離婚し、新しい生活を手に入れるための具体的な「手順」を解説します。 これは単なる法律論ではなく、あなたの命を守るためのガイドラインです。
1. 【Step 1】相手に気づかれずに「証拠」を集める
DV加害者は、家庭内では暴君でも、一歩外に出れば「人当たりの良い夫」を演じることが非常に得意です。 いざ裁判になった時、「妻の妄想だ」「暴力なんて振るっていない」としらを切られないよう、まずは証拠を集めてください。
絶対にやっておくべき5つの証拠収集
- 写真を撮る: 暴力でできた痣(あざ)、壊された家具、散乱した部屋。怪我は治ってしまう前に、必ずご自身の顔も入った状態で撮影してください。
- 診断書を取る: 「大した怪我じゃないから」と遠慮せず、必ず病院へ行ってください。「夫からの暴力による」と医師に告げ、診断書をもらうことが最強の証拠になります。
- 警察への相談実績: 110番通報や警察署への相談は、公式な記録(相談カード)として残ります。これが後述する「保護命令」の申立てに不可欠です。
- 暴言の録音・日記: 罵倒されている時の録音や、「いつ・何をされたか」を詳細に記した日記も有力な証拠です。
- 謝罪の記録: 暴力を振るった後に「ごめん、もうしない」と謝ってきたLINEやメールは、暴力を認めた自白の証拠になります。絶対に消さないでください。
2. 【Step 2】弁護士への相談(別居プランニング)
「証拠が集まってから相談しよう」と思っていませんか? いいえ、相談は「逃げる前」がベストです。
弁護士の仕事は、裁判だけではありません。 当事務所では、「いつ、どうやって家を出るか」「何を持って出るべきか」といった、別居に向けたプランニングからサポートを行っています。 善意のアドバイスでも、知識のない人に相談して下手に動くと、相手に勘づかれて監禁されるなどのリスクがあります。 プロの知識を持って、安全な脱出ルートを確保しましょう。
3. 【Step 3】決行!「別居」に踏み切る
身の安全を確保するには、物理的に距離を置く(別居する)しかありません。
別居を成功させる5つの鉄則
- 転居先を決める: 実家、賃貸物件、あるいは公的・民間のシェルター。早めにご相談いただければ、適切な避難先のアドバイスも可能です。
- 絶対に気づかれない: 少しでも勘づかれると全力で妨害されます。荷造りの様子を見せないなど、細心の注意が必要です
- 必要なものは全て持ち出す: 通帳、印鑑、保険証、子供の母子手帳など。「後で取りに帰ればいい」は通用しません。捨てられる覚悟で、大事なものは一度で持ち出してください。
- 当面の現金を確保する: 相手の口座から引き出せなくても、自宅にある現金や、自分の預貯金は確保してください。財産分与の中で清算すれば問題ありません。まずは生きるためのお金が最優先です。
4. 【Step 4】「保護命令」でバリケードを張る
別居後、相手が職場や実家に押しかけてくるのを防ぐため、裁判所に「保護命令」を申し立てます。 認められれば、相手に対して「接近禁止命令(つきまとい禁止)」や「退去命令」が出され、違反すれば逮捕される強力な効力を持ちます。
保護命令を勝ち取る条件
- 身体的暴力、または生命・身体への脅迫を受けていること。
- さらなる暴力により重大な危害を受ける恐れがあること。
- 警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談実績があること。
ここでも「Step 1」で集めた証拠がモノを言います。申立ては複雑ですので、弁護士にお任せいただくのが確実です。
5. 【Step 5】行政サービスの活用と生活基盤の確保
DV被害者には、特別な行政措置が用意されています。これらを活用し、相手に知られずに生活を立て直しましょう。
- 住民票の閲覧制限: 市役所に申し出ることで、加害者があなたの新しい住所(住民票)を見られないようにロックをかけられます。
- 健康保険の切り替え: 夫の扶養に入っていても、特例で夫の許可なく扶養から抜け、自分自身で国保に加入できます。
- 児童手当の受給者変更: 別居して子供を監護していれば、夫ではなくあなたの口座に児童手当が振り込まれるよう変更できます。
6. 【Step 6】離婚調停・婚姻費用分担請求
生活が落ち着いたら(あるいは並行して)、弁護士を代理人として「離婚調停」と「婚姻費用(生活費)分担調停」を申し立てます。
- 相手と会う必要はありません: 調停は裁判所で行いますが、待合室も別々、到着・帰宅時間もずらすなどの配慮がなされます。
- 生活費の確保: 「勝手に出て行った奴に金は払わん」という夫が多いですが、法律上、別居中でも生活費を払う義務があります。調停でしっかりと請求します。
最後に:弁護士は、あなたの「命のガードマン」です。
DV加害者と離婚するのは、通常の離婚よりも遥かにエネルギーがいります。 相手は、あの手この手であなたを連れ戻そうとしたり、脅したりしてくるでしょう。
だからこそ、一人で戦わないでください。 弁護士がついていると警察に伝えておけば、警察の動きも早くなります。 弁護士が窓口になれば、相手からの電話に怯える必要もなくなります。
かがりび綜合法律事務所は、あなたの盾となり、新しい人生への扉を開くまで徹底的に守り抜きます。 まずは一度、勇気を出してご相談ください。その一本の電話が、現状から抜け出す一番の近道です。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所 代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会所属)
