【弁護士 野条健人 が解説】不倫(不貞行為)が原因で離婚したい|慰謝料・親権・財産分与の交渉戦略
「配偶者の不倫が発覚した…」 「裏切られたショックで、もう夫婦としてやっていけない…」
配偶者の不倫(不貞行為)は、夫婦間の信頼関係を根底から破壊する、最も深刻な問題の一つです。不倫が原因で離婚を決意した方は、怒りや悲しみ、そして「これからどうすればいいのか?」という不安な気持ちでいっぱいになっていることでしょう。
この記事では、大阪の離婚弁護士として数多くの不倫問題による離婚を解決してきた私、野条健人が、不倫を原因とする離婚において、あなたが最大限の利益を得るための交渉戦略と、知っておくべき法的な知識を徹底的に解説します。大阪、大阪近辺での離婚ならおまかせください。
- 不倫された側からの離婚請求はできる?
- 不倫した側からの離婚請求は?
- 慰謝料の相場と増額のポイントは?
- 親権や財産分与はどうなる?
これらの疑問を解消し、あなたの再出発を確実なものにするための具体的な道筋が見えてくるはずです。
1. 不倫(不貞行為)と離婚請求の可否
(1)不倫をされた側からの離婚請求
配偶者の不貞行為は、民法770条1項1号に定められた**「不貞な行為があったとき」**という、明確な法定離婚事由です。
したがって、相手方が離婚に応じない場合でも、協議、調停、そして裁判を経て、あなたが不貞行為の事実を立証できれば、裁判官の判断で離婚が認められます。
(2)不倫をした側(有責配偶者)からの離婚請求
一方、不貞行為をした側(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。これは「自ら夫婦関係を破綻させておきながら、相手に離婚を強いることは許されない」という、信義誠実の原則に基づいています。
ただし、最高裁判例(最高裁昭和62年9月2日判決)によって、以下の3つの条件をすべて満たす場合には、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められる可能性があります。
- 夫婦の別居期間が相当長期にわたること
- 未成熟の子どもがいないこと
- 相手方配偶者が、離婚によって精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況に置かれないこと
不倫をされた側にとって、この原則を知っていることは非常に重要です。たとえ相手が離婚を求めてきても、あなたが同意しなければ、裁判では原則として離婚が認められないからです。この原則は、あなたが慰謝料や財産分与などの交渉を有利に進めるための強力な武器となります。
2. 不倫が原因の離婚で知っておくべき検討事項
不倫が原因で離婚する場合、慰謝料だけでなく、親権や財産分与など、多くの問題が絡み合います。これらの問題についても、不倫の事実が交渉にどう影響するかを理解しておくことが重要です。
(1)慰謝料
不倫が原因で離婚に至る場合、慰謝料の金額は高くなりやすいと言われています。不貞行為によって一つの家庭が崩壊したという結果は、慰謝料を算定する上で最も重く考慮される要素の一つだからです。
- 慰謝料の相場: 不倫が原因で離婚に至った場合の慰謝料の相場は、200万円〜300万円が一般的です。
- 慰謝料増額のポイント: 慰謝料の金額は、不倫の期間、回数、頻度、発覚後の態度だけでなく、以下の要素も考慮されます。
- 離婚の有無: 不倫が原因で離婚した場合は、離婚しなかった場合よりも慰謝料が高額になります。
- 未成熟な子どもの有無: 未成熟な子どもがいる家庭で不倫が発覚した場合、子どもに与える影響が大きいため、慰謝料が増額される傾向にあります。
- 不倫発覚後の態度: 相手が反省せず、不誠実な態度を取り続けた場合、被害者の精神的苦痛は増大するため、慰謝料増額の要素となります。
(2)親権・面会交流
不倫の事実と親権や面会交流は、原則として直接関係がないとされています。なぜなら、親権や面会交流は、**「子の利益」**を最優先に決定されるべき問題だからです。
- 親権: 親権は、不倫をしたかどうかではなく、**「どちらの親が、子どもにとってより良い環境で育てることができるか」**という観点から判断されます。そのため、監護実情や監護実績が重視されます。
- 面会交流: 不倫をした親でも、子どもとの面会交流は、子の利益のために認められるのが一般的です。
ただし、不倫相手の家に子どもを連れて入り浸ったり、子どもの面前で不貞行為に及んだりするなど、不倫が子の利益に悪影響を及ぼすような悪質なケースでは、親権や面会交流の判断に大きな影響を与える可能性があります。
(3)養育費
養育費は、不倫があったかどうかとは全く関係なく、支払う側の収入と子どもの年齢によって定められます。不倫をした親でも、子どもを扶養する義務は消滅しません。
(4)財産分与
慰謝料とは異なり、不倫の事実と財産分与は別の問題として扱われます。財産分与は、夫婦が結婚期間中に築き上げた共有財産を公平に分けることを目的としているため、不倫をした妻でも、共有財産を均等に分割する権利があります。
ただし、交渉次第では、慰謝料の代わりに、慰謝料と同額分の財産分与を減額する形で調整することも可能です。
3. 解決事例に学ぶ!不倫離婚の交渉戦略
当事務所で実際に解決した、不倫が原因の離婚事例をご紹介します。
【解決事例】亭主関白な夫との離婚を成立させた事例|30代女性
- 相談内容: 亭主関白な夫からパワハラを受け、別居していたご相談者様。夫の不貞行為も発覚し、精神的苦痛を受けていました。誰にも相談できず、意を決してご相談にいらっしゃいました。
- 弁護士の対応: まず、ご相談者様のお話を親身に伺い、夫の言動が原因で精神的苦痛を受けている状況を深く理解しました。離婚成立を目的とし、まずは離婚調停で早期解決を目指しました。
- 結果: 夫の不貞行為を証明する証拠を基に、不倫慰謝料の請求を明確に主張。離婚調停の中で、解決金として250万円、財産分与、そして親権を獲得し、離婚を成立させることができました。
- 弁護士 野条健人のコメント: 不倫問題による離婚は、法的なアプローチだけでなく、ご相談者様の心のケアも重要です。このケースでは、不貞行為による慰謝料だけでなく、親権や財産分与においてもご相談者様が最大の利益を得られるよう、交渉戦略を組み立てました。最終的に、ご相談者様が笑顔を取り戻し、新たな人生の一歩を踏み出せたことが何よりの喜びです。
4. まとめ:一人で悩まず、専門家を頼る勇気を
配偶者の不倫が発覚し、許せない気持ちでいる方や、離婚による損失を避けたいと悩んでいる方は多いでしょう。
不倫が原因の離婚は、慰謝料だけでなく、親権や財産分与など、多くの問題が複雑に絡み合います。これらの問題をすべて有利に進めるためには、適切な証拠収集と、過去の裁判例に基づいた交渉戦略が不可欠です。
不倫をされた側は、感情的になりがちですが、冷静に法律の専門家である弁護士に相談することで、有利な解決へと導くことができます。
当事務所では、これまで多くの不倫問題による離婚案件を扱ってきました。あなたの状況を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案します。
「不倫が原因で離婚したいけど、どうすればいいか分からない…」 「慰謝料をしっかり請求したいけど、証拠がなくて不安…」
そう感じた時こそ、専門家を頼るタイミングです。
まずはお気軽にご相談ください。あなたの正当な権利を守り、将来的なトラブルを防ぐため、終局的な解決を目指します。