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DVとは?見過ごされがちな精神的DV(モラハラ)の恐ろしさと対処法【弁護士が解説】
「もしかして、私もDVを受けてる…?」 「言葉の暴力って、DVになるの?」
配偶者やパートナーからの言動に心を傷つけられ、「自分が悪いからだ」と一人で抱え込んでいませんか?それは、**「精神的DV」**かもしれません。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所の弁護士、野条 健人です。私はこれまで多くの離婚・男女問題に携わってきましたが、その中でも特に、**「精神的DV(モラハラ)」**に苦しむ方の多さに心を痛めてきました。
この記事では、見過ごされがちな精神的DVの実態と、あなたが「自分らしい人生」を取り戻すための具体的な対処法について、弁護士の視点から詳しく解説します。
DV(ドメスティック・バイオレンス)とは?意外と知らないその種類
DVとは、配偶者や恋人など、親密な関係にある男女間で発生する暴力のことです。内閣府男女共同参画局のデータによれば、年間12万件以上のDVに関する相談が寄せられており、多くの方がこの問題で悩んでいることがわかります。そして、被害者は男性よりも女性が多いのが特徴です。
DVには、皆さんが想像しやすい「身体的暴力」だけでなく、様々な形があります。
- 身体的暴力: 殴る、蹴る、突き飛ばすなど、身体に直接的な危害を加える行為。
- 精神的暴力(精神的DV): 心無い言動や態度で相手の心を傷つける行為。モラハラもこれに含まれます。
- 経済的暴力: 生活費を渡さない、働かせない、勝手にお金を使うなど、経済的に支配する行為。
- 性的暴力: 望まない性行為を強要する、避妊に協力しないなど、性的な嫌がらせや強要を行う行為。
心ない言動や態度が「精神的DV」に!その具体例と影響
特に気づかれにくいのが「精神的DV」です。これは、身体に傷を残さないため、被害者自身がDVを受けていると自覚しにくい傾向があります。
内閣府男女共同参画局は、精神的DVを**「心無い言動等により、相手の心を傷つけるもの」**と定義しています。
精神的DVの恐ろしさは、心の傷が深く残り、**PTSD(心的外傷後ストレス障害)**などの精神疾患を引き起こす可能性がある点です。場合によっては、刑法上の傷害罪として処罰される可能性さえあります。
また、精神的DVの被害者は、「相手が自分にきつく当たるのは、自分が悪いからだ」と思い込み、加害者から離れられなくなる**「トラウマティック・ボンディング」**という特殊な精神状態に陥ることもあります。
精神的DV(モラハラ)の具体的な言動をチェック!
以下に、精神的DVの具体的な例を挙げます。パートナーの言動に当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
- 相手を無視する
- 常に命令口調で話す
- 殴るフリをして脅す
- 長時間にわたって説教し続ける
- あなたの友人や家族との交友関係を否定する
- あなたの許可なく大切なものを勝手に捨てる
- あなたの家族の悪口を言う
- 不特定多数の人がいる前で怒鳴りつける
- 「デブ」「ブス」など、外見を執拗にけなす
- 「離婚したら死ぬ」などと言って、関係を終わらせないよう脅す
お子さんやあなたの親族に対する暴言も、精神的DVに該当します。 さらに、あなたに危害を加える旨を告知したり、精神的DVによって健康を害されたりした場合は、刑法上の脅迫罪や傷害罪となり、刑罰の対象となることもあります。
精神的DVを受けたら?まず証拠を集め、専門家に相談を
もしあなたが精神的DVを受けているかもしれないと感じたら、まずは証拠を集めることから始めましょう。DVによる離婚請求や告訴、慰謝料請求を行う際には、第三者から見てもDV被害が明確にわかる証拠が不可欠です。
効果的な証拠収集方法
- スマートフォンの録音・録画機能で暴言を記録する
- 心ないLINEメッセージやメールをスクリーンショットで保存する
- 受けた被害の内容を、日付や時間とともに詳細に毎日記録する(DV日記など)
- 精神科や心療内科を受診し、医師の診断書やカルテを残す
ただし、証拠集めをしていることを加害者に悟られないよう、細心の注意が必要です。もし、スマートフォンを管理されていたり、記録が難しいと感じる場合は、小型のボイスレコーダーやカメラの活用も有効です。
**無理に証拠を集めようとして、かえって危険な状況に陥る恐れもあります。**自分一人で証拠を集めるのが心配な場合は、弁護士やDV相談窓口に相談し、適切な証拠の集め方についてアドバイスを求めることを強くお勧めします。
「改正DV防止法」で精神的DVも保護命令の対象に!
2024年4月には「改正DV防止法」が施行され、大きな変化がありました。従来の身体的暴力に加え、精神的暴力も保護命令の対象となったのです。
保護命令とは、被害者の申し立てにより、裁判所が加害者に対し、被害者本人だけでなく被害者の家族や親族への直接的な接触や電話などの連絡を禁止する命令です。
今回の改正で、保護命令の期間は従来の6ヵ月から1年に延長され、違反した場合の罰則も「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」から**「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」**へと強化されました。
しかし、精神的DVは行為自体の立証が難しい場合もあり、保護命令が適用されるかどうかの判断は専門的な知識を要します。もし適用されるか不安な場合は、すぐに弁護士にご相談ください。
あなたの心を守るために、私たちがお力になります
DV、特に精神的DVは、目に見えない形であなたの心を蝕んでいきます。しかし、あなたは一人ではありません。
弁護士法人かがりび綜合法律事務所では、DVに苦しむ方々を全力でサポートしています。あなたの状況を丁寧に伺い、最適な解決策をご提案します。
「もしかしてDVを受けているのかも…」「どうすればこの状況から抜け出せるんだろう…」
どんな些細なことでも構いません。まずは、お気軽にご相談ください。あなたの心と未来を守るため、私たちが最初の一歩を共に踏み出します。
初回相談は無料で承っております。
